「浮体式洋上風力発電 – 世界市場の最新動向と日本での可能性」 Floating wind: global market update and the implications for Japan

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Carbon Trust / ClassNK Consulting Service 共催 
Webinarのご案内

「浮体式洋上風力発電 – 世界市場の最新動向と日本での可能性」

開催日時:2020年7月30日(木)16:00~17:00

最新のCarbon Trustの調査報告書に基づき、世界の浮体式洋上風力発電開発の最新動向と2040年への展望などの情報を提供すると共に日本市場のポテンシャルと固有の課題に関する解説を行うことを目的に開催致します。

 今回のWebinarでは、Carbon TrustとClassNK Consulting Servicesの専門家より下記の議論及び解説を行います。

  • 世界主要市場における浮体式洋上風力発電の導入状況、今後の計画及び支援策に 関する解説
  • 浮体式洋上風力発電に係わる最新技術開発動向と必要な主要技術課題に関する解説
  • 日本における今後の浮体式洋上風力発電の導入ポテンシャル及び主要課題に関する解説

尚、本Webinarでは皆様よりWeb上でご質問を頂き、講演後に出来る限り回答させていただく予定です。

風力発電デベロッパー、電力事業者、サプライチェーン、政府関係者、学術関係者及び海洋産業等、様々な業種業界からのご参加を心よりお待ちしております。ご多忙の折とは存じますが、ご参加賜りますようお願い致します。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

Carbon Trustについて
Carbon Trustは洋上風力発電に関する先駆的な役割を果たしており、政府、デベロッパー、サプライチェーン、技術開発者と緊密に連携して、政策提言、技術開発支援を行うとともにコスト低減の可能性を特定しその為の開発プログラムを実施しております。又、最近は日本においても政府関係機関と複数のお客様への支援も行っています。

ClassNK Consulting Serviceについて
ClassNK Consulting Service Co., Ltd. (NKCS)は、海事クラスターの一員として、広範囲なコンサルティングサービスの提供により、諸課題解決の支援する為に設立された会社です。認証団体(NK)では 提供不可であった、各種コンサルサービス及び直接的なソリューションをご提供しております。この度、風力関連コンサルティングのサービスを開始しました。

参加費は無料です。参加ご希望の方は、右記のリンクよりご登録を7月28日までにお願い致します。

※本Webinarは日本語にて実施致します。

「浮体式洋上風力発電 – 世界市場の最新動向と日本での可能性」


Webinarでいただいたご質問へのご回答

株式会社Class NKコンサルティングサービス・Carbon Trust

Webinar当日の書き込みでは、80件以上のご質問をいただきました。ここでは、いただいたご質問の中から、弊方でいくつかピックアップさせていただきまとめました。なお、いただきました個別のご質問・ご意見に関しましては、今後の弊社サービス向上のためにご利用させていただくと共に、次回のWebinarの内容のご参考にさせていただきます。

分類 ご質問 ご回答
NKCSの業務 利用させていただくと共に、次回のWebinarの内容のご参考にさせていただきます。 NKは認証そのものを実施、NKCSは開発初期段階の風況評価や金融機関向け技術デューディリジェンスを行います。
  国内へのコンサルタントサービスでNKCSとCarbon Trustは共同で行うのか? 今後、双方の強みを生かし協力体制で行ってまいります。
風力のポテンシャル 日本における着床式、浮体式のそれぞれのポテンシャルはどの程度あるのか? JWPAのWind visionにおいて、2030年に着床式5.8GW、浮体式3.8GW、2050年には着床式19GW、浮体式18GWの導入目標を提言されています。また、現在、NEDO委託事業において、洋上風力のポテンシャルの検討が進められており、今後、公表されるものと思います。
  浮体式のメリットは水深の深い海域での設置だが、水深が深い=風況が良いかどうか知りたい。 基本的には、同一地域において、離岸距離が大きくなれば、風況は良くなります。離岸距離に応じて水深は深くなるものの、遠浅な場所、すぐ深くなる場所とがあり、水深の増加の勾配と平均風速の勾配は一致しません。なお、陸側の地形の影響等によって、海岸線に沿った風況の分布は一様ではないところもあるため、広域的に見て水深と年平均風速は単純な比例関係ではありません。
  日本と韓国のポテンシャルが大きいとの説明だったが、中国や台湾は大きくないのか? 日本と韓国は洋上風力のポテンシャルが大きいものの、北海と比べると好風況の浅海域が少ないため、欧州だけでなく、中国や台湾に比べても、洋上風力の開発が遅れているとの意味となります。
コスト 浮体式が着床式よりも安くなる理由は? 好風況への設置、浮体の最適設計、施工時の洋上作業時間の短縮化の実現、風車の大型によるMW当たりの建設費の低減などが達成されれば、着床式よりも低コスト化が実現する可能性があると見られています。
  浮体式の方が着床式よりCAPEX(資本費)が下がるという米国の予想は具体的な理由は? 今回のプレゼンテーションでお示ししたのは、浮体式のLCOE(発電コスト)が着床式よりも低減するシナリオを作っている米国の事例となります。CAPEXについては今後の技術開発次第と思いますが、浮体式も着床式と同様、他の電源に対して、コスト競争力があることが目標とされています。
  設置コスト低減の展望について 設置コストは、傭船料と作業日数で考えることができ、SEP船などの大型作業船については、回航費(動復員費)の影響も大きくなります。浮体形式をセミサブ式と仮定した場合、浮体への風車設置作業を港やヤード等で行うことも考えられ、大型作業船に係るコストを大幅に下げられる可能性があります。運用開始後の大規模修繕工事も同様です。今後、施工方法・保守方法も含めて、日本の海域に最適な浮体形式の検討、浮体式風力に最適な作業船群の開発・検討を行いながら、コスト低減を図ることになるものと思います。
  プロジェクトの初期の課題として、CAPEXが課題であるが、OPEXも今後課題になると思う。そのあたりの試算や検証は? OPEXの低減についても必要であると考えております。実証研究を通して、試算と検証をされていますが、大規模ウィンドファームでのOPEXに関しては、今後の検証が期待されます。
  メンテンナンス・補修の頻度と費用の着床式と浮体式の差は? メンテナンス・補修の頻度は、風車に対しては着床式と浮体式とで大きく変わらないと予測されますが、浮体式では係留に係る、水中でのメンテナンス・補修の時間短縮、障害の早期発見(遠隔監視)の重要性が一層大きいと言えます
  着床式と浮体式とで、建設時のSEP船のコストや運用時SOV船のコストはどれくらい異なるか? 作業船のコストは、傭船料と作業日数で考えることができ、SEP船などの大型作業船については、回航費(動復員費)の影響も大きくなります。SOV船のコストについては、着床式と同様のものが利用できると考えられ、大きな差は生じないと思われます。
着床式と浮体式では適用可能な水深範囲が異なりますので、同じ条件下での単純比較は難しいと言えますが、浮体形式をセミサブ式と仮定した場合、浮体への風車設置作業を港やヤード等で行うことも考えられ、大型作業船に係るコストを大幅に下げられる可能性があります。運用開始後の大規模修繕工事も同様です。着床式の場合、専用の作業船、SOV船を開発することで、コスト低減化が図られましたが、まだ、浮体式風車に最適化された作業船はなく、初期のプロジェクトでは、既存の作業船が流用されると予測されます。今後、施工方法・保守方法も含めて、日本の海域に最適な浮体形式の検討、浮体式風力に最適な作業船群の開発・検討が行われるものと思います。
 
  発電事業者としては現状着床式発電設備の方がコスト面でも有利だと思うが、浮体式の開発を進めるメリットは? 現状は、着床式の方が浮体式よりもコスト面で有利です。しかし、低炭素社会、脱炭素社会の実現に、洋上風力の更なる導入が求められており、その導入量の実現に浮体式風力が必要となっており、低コスト化の技術開発が進められています。
技術 日本は台風が多いが、その対策はどうしているのか? 風車及び浮体は、台風などの暴風を考慮した設計になっており、洋上では風に加えて、海象条件も考慮されています。設置される場所の風条件が採用する風力発電設備の設計値を超えないことを確認することで、安全性の確保をします。NKでは規則や規格への適合性を確認する風車の型式認証やウィンドファーム認証を行っています。
  日本は欧州ほど風況が良くないが、今後、日本でも15MW、20MWと風車の大型化が進むと考えられるか? 10年先(あるいはもっと早まるかもしれません)を考えると、15MW級の風車の可能性は十分あり得ると思います。なお、大型化にはそれに対応する港湾や作業船群等のインフラ整備が必須となりますので、まずは10MW級のプロジェクトの建設・運用で十分な経験を積み、その次に繋げることが重要と考えます。
  浮体式洋上風車が十分な採算性を確保して普及するためにキーとなる技術革新は何か? 主要となるのは、CAPEXの大きな割合を占める浮体の低コスト化だと思いますが、採算性を確保するためには、浮体の低コスト化だけでは不十分で、各技術要素の低コスト化の積み上げ、全体的な最適化を図ることによって、実現が可能になると思います。
  日本において最も可能性高い浮体の基礎構造は何か?また、商用化フェーズでの今後のトレンドは? 浮体式洋上風力発電に関して、今一番重要な課題が、ご質問頂いた内容であると思います。日本の気象海象条件を踏まえ、製作費、施工費及び運転維持費を総合的に勘案して、最もコスト低減の見込みのある浮体形式の検討が求められていると思います。商用化フェーズでは、海域毎の条件を踏まえて、発電コストの低減化が実現可能な浮体形式に収斂していくのではないかと推測されます。
  係留方法も色々あると思うが、どの方法が日本では優利か? 設置される海域の水深、海象条件、地盤条件によると思いますが、日本市場を考える場合は、浮体式洋上風力の有望な区域の抽出をした上で、その海域の条件を踏まえて有望な係留方式が見えてくるものと思われます。合成繊維索については低コスト化の可能性の観点で、今後の研究開発が期待されると思います。
金融 浮体式でプロジェクトファイナンスは実行されている例はあるか? まだ欧州でも浮体式洋上風力のプロジェクトファイナンスの例はありません。風車メーカー、造船業界、マリンコントラクターといった異なる業界がプロジェクトに関与するため、インターフェイスリスクを如何に低減するかが、キーになると思います。